令和4年産 提携米 『新米の入荷日 と 価格』

今年の天候は猛暑に加え台風など雨が多く「提携米」の生育が心配されましたが大きな被害は無く、収穫の時期を迎える事ができました。
反面、ウクライナ侵攻や円高により食料品の高騰が続いている中、お客様において一番気になるのは今年のお米の価格です。
当店では、持続可能なお米の生産・供給を図るため、市場価格による決め方では無く、『農家さんがこれからも作り続けることが出来る価格(再生産可能な価格)』を毎年確認して決めています。
肥料・燃油など農業資材も高騰してますが、4年産への影響は少なく、影響が大きく出るのはこれから準備し来年使用する5年産のお米であるという事なので、4年産の価格は『据え置き』となりました。

入荷予定日

10月 7日  ‥‥ 富山・林さんのお米「富富富(ふふふ)」
  〃〃〃   ‥‥ 新潟・丸山さんのお米「コシヒカリ」
10月20日頃 ‥‥ 山形・南陽おいしいお米の会さん「つや姫」
  〃〃〃   ‥‥   〃〃     〃〃    「ひとめぼれ」
  〃〃〃   ‥‥ 福島・あいづ農園さんのお米「コシヒカリ」 
11月 8日  ‥‥ 福島・大竹さんのお米「JAS有機米 コシヒカリ」
11月10日頃 ‥‥ 埼玉・鴻巣 特別栽培米部会さん「彩のかがやき」
  

「富富富(ふふふ)の 田んぼ」 を 見て来ました

8月20日、富山県黒部市で富山の新しいお米「富富富(ふふふ)」を生産している専業農家・林幸治さんを訪ね、今年の生育状況を伺い、田んぼを見て来ました。

生育状況について富富富(ふふふ)は 高温やイモチ病に強い品種であるのですが、「今年は雨が多くその影響が出ないか心配している」と話されていました。

米づくり(農業)は自然相手の産業ですが、天候が回復して美味しいお米が穫れることを祈るばかりです。
尚、富富富(ふふふ)の新米入荷は “10月上旬の予定” です。
皆さま、お楽しみに‥‥

緑のカーテン

昨年は店先にてゴーヤの緑のカーテンを育成していましたが、
今年は苗を買う時期が間に合わず、きゅうりの緑のカーテンを育てています。

きゅうりはどれくらいまで伸びるのか分からないですが、あっという間に大きくなりました
「秋穫れきゅうり」という品種?なので秋に収穫できる予定です。

子供たちと 草取り体験 in 鴻巣

田植え体験から2ヶ月が経過した8月14日に田んぼに行って来ました。
植えた時は10㎝程だった苗が草丈80cmにも生長してました。

目的は “田んぼの草取り体験” でしたが、草丈が高く株間に入っての作業は難しいので、畔に近い所の稲株回りの草取りに専念する事にしました。
尚、今回はお盆休みと重なり予定が入っていた方が多く、田んぼに行けたのは息子家族のみでした。

草取りをしながら子供(孫)たちが気になるのは、田んぼの生き物!
白いオタマジャクシ や カエル を見つけて興奮気味でした。

ミニ田んぼ(令和4)  苗 1本植え 「分げつの記録」

店舗脇に設置した 発泡スチロールのミニ田んぼ に、田植え体験の時に譲って頂いたイネの苗を植えました。
1つは例年通り “苗1本植え” で、もう1つは息子の要望で “苗5本植え” としました。

1本の苗は、活着する(根が張る)と「分げつ(枝分かれ)」して5本程に増えるので、その記録を撮っています。
尚、ミニ田んぼの様子を見ている方にイネの草丈が分かるように計測棒を立てました。
以下、先ずは7月24日までの分げつの様子をご報告致します。

子供たちの田植え体験 in 鴻巣

6月11日、4家族19名が参加し、埼玉県鴻巣市の寺山さんの田んぼで「田植え体験」をしました。
寺山さんから植え方の説明を受けたあとに、約4アール(120坪)程の圃場に裸足で入り、泥んこになりながらもイネの苗(品種は、埼玉の奨励品種「彩のかがやき」)を植えました。

 子供たち(園児~小4)は田んぼの中でカエルやドジョウ・アメンボなどを見つけたりと、教室では学べない貴重な体験を楽しんでいました。
お父さんお母さんも田んぼに入られ、全員が休憩も取らずに苗を植え続け、約1時間30分程で田植えは無事終了しました。
今後は8月に成長観察、そして10月10日頃に「稲刈り体験」を予定しています。

イネの生育 と 気温 ≪令和4年版≫

2022年(令和4)、気温(気象)のデータ収集を始めました。 この収集は米騒動が起きた平成5年以降から行っている私独自の<自己流チェック法>です。「お米の収穫に影響を及ぼす気温」について少し専門的になりますが、イネの生育ステージ の説明を交えながら、お米の収穫の判断目安としているチェック事項を公開します。   

平均気温(平年値)との差を比較する

イネは低温に弱く、長く続くと不稔モミ(実がならない)が発生します。逆に、高温の日が長く続くと白未熟粒(お米の一部が白くなる)が発生し易くなります。 

私はこの危険を早期に察するために、毎日の最高気温と最低気温において平年値との差を比較し、写真のように一定以上の気温差がある時に目視で分かるよう色塗りし、危険となる事象を察する資料データとしています。

  平年との差が +4℃以上は ピンク色

  平年との差が ー4℃~ ー4.9℃は 黄色

  平年との差が ー5℃以下は 水色

 【補足】 一番右列の水色は「雨」をチェック

気温データの利用法  チェック事項は?

(1) 低温

① 田植え後 5月中・下旬の 「活着期」 と 「分げつ期」

低温・日照不足が続くと、茎が細く軟弱になり、倒伏し易くなる。

② 7月上・中旬の 「幼穂形成始期・えい花分化期・幼穂形成期・減数分裂期」

この期間は “お米の赤ちゃん” が育つ大事な時期なので、低温に最も弱い時期です。平均気温が20度以下、また夜温(最低気温)で16度以下の日が長く続くと、不完全なえい花や 花粉の奇形が発生し、不稔になります。

③ 8月上旬の 「出穂・開花期」

この期間も平均気温が20度以下、夜温で16度以下の低温日が長く続くと、花粉管の伸長が 停止し、花粉は受精能力を失うため、不稔モミ(実が入らない)が多く発生します。    

【低温が続く時の一般的対策】

イネの幼穂を保護する為に、田んぼの水を深くする「深水管理」をします。

深水の目安は、幼穂形成期(出穂前20~25日)で10cm以上。                      減数分裂期(出穂前8~15日)で15~20cm以上と言われています。  

(2) 高温(猛暑)

お米は亜熱帯性の植物ですので暑さには強いですが、近年のような猛暑には影響が出ます。

出穂後20日間の最高気温が平均31~32度以上、また同期間の最低気温(夜温)が平均23~24度以上になると、白未熟粒(お米の一部が白くなる)や胴割粒が発生し易くなります。                                   白未熟粒となったお米の味は変わりませんが、大量に発生すると規格外というお米になり、 農家さんの収入が大きく減少します。

高温障害への対策

水稲や果樹・野菜・花き・乳用牛など、日本の農業生産現場に地球温暖化の影響と見られる 高温障害の発生リスクが高まっています。

水稲(お米)では、白未熟粒や粒の充実不足、そして胴割粒などです。これらの対応策として国内では、高温に強い「高温耐性品種」の研究・開発が進められ、現在では各県で育種され、ブランド米として流通・販売されています。 

戸辺米穀店で取扱う “ 高温耐性品種 ” の提携米は2品種、山形・南陽おいしいお米の会さんの「つや姫」と 富山・林さんの「富富富 (ふふふ) 」です。今後はさらに地球温暖化がもたらす影響を見据え、新たな高温耐性品種米をご案内できるよう準備を進めています。

(3) 台風

9月は台風の時期ですので、発生したら台風情報を収集して進路等を注意します。

自然の力には逆らえないですが、田んぼが冠水したり、稲が倒れるなどの被害に遭うと品質や収量に影響が出てしまいます。                            また、病気の発生が懸念されます。

おまけ

専門用語が並びますが、田植え ~ 収穫までの期間をイネの生育に沿いながら、その生育過程を説明させて頂きます。(事例は、関東甲信越・南東北)

イネの生育ステージ

育苗期     

4月上旬~   苗代期 ‥‥ 種籾を発芽させ、苗床に播種して苗づくりをする期間。

分げつ伸長期

5月上旬~   田植え    

5月中旬~   活着期 ‥‥ 田植え後、苗が根付くまでの期間

5月下旬~  分げつ期 ‥‥ 草丈を伸ばし茎数を増やす期間(木でいう、枝分かれの事)

穂づくり期

6月末 ~  幼穂形成始期 ‥ 茎の生長点に穂の基になる幼穂(1mm位)が作られる期間

7月上旬 ~  えい花分化期 ‥ 枝梗の先にイネの花のつぼみが出来る期間。

               えい花とはイネの花のことで、それが一粒一粒の籾になる。 

7月中旬 ~   幼穂形成期 ‥ 幼穂が5mm位になると形成期と言う。(出穂18日前)

        減数分裂期 ‥ 染色体の数が半分になる細胞分裂期のこと。

               花粉などの生殖細胞が作られる。(出穂12日前)

7月下旬 ~  穂ばらみ期 ‥ 幼穂が徐々に大きくなる期間。(出穂6日前)

結 実 期

「お米の花」 (出穂・開花)
雄しべ6本、(中央に)雌しべ

8月上旬 ~ 出穂・開花期 ‥ 穂が出て、お米の花が咲く時期(開花の適温は30度)

8月中旬 ~    乳熟期 ‥ モミの中に乳状の実が入る時期

9月上旬 ~ 黄熟・完熟期 ‥ 実が熟してきて重くなり、黄金色に稲穂が垂れる時期

9月下旬 ~    成熟期 ‥ 稲刈り(収穫)

【適期刈取日の目安】

玄米の光沢を良くし、品質を高めるためには適期に刈り取ることが重要なのですが、農家さんは何を目安にして稲刈りを始めるのでしょうか。経験からと言うのもあるでしょうが、以下の3点を目安にしている様です。 

① 出穂してから     40 ~ 50日後

② 出穂後の積算温度  950 ~ 1100度

③ 稲の葉色を見る   色落ちしたら (濃い緑 ➜ うす緑になる) 

収穫を待つ稲穂
稲刈り

★★☆☆

長い説明になりましたが、最後までお読み下さり有り難うございます。

私たちの食卓に上がる “美味しい農産物” の背景には「自然を相手に頑張っている農家さんがいる」、という事に気が付いて下されば幸いです。                    そして今後、国内の生産者を応援して下さると、より嬉しく思います。

尚、本文は、2019年7月19日に投稿したコラム “イネの生育と気温(気象)との関係” の内容をより判り易くし、理解して頂くために再編集いたしました。