(a) 地域に適したお米の作付け
お米を生産する現場ではその地域において少し早く収穫できる早生品種と、 それより遅れて収穫される晩成品種を組み合わせて作付けするのが慣行です。
お米は自然の恩恵をうけて育ちますので単一の同じ品種ばかりを作付けした時に、 悪天候(低温・日照不足等)が続いたり、病害虫が発生したりすると被害が集中してしまいます。
また、収穫適期に雨になると田んぼが乾くまで稲刈りが出来なくなります。
田んぼに入れない状態が長く続くと刈り遅れとなり、品質を低下させ、コメの評価を 落とすことになるばかりか、少ない労働力(家族)のなかで作業を短期間により一層集中させなければなりません。
こうしたことから生産の現場では「被害の分散」と「作業の分散」が出来るよう地域に 適した数種類の品種を選び、上図のようなお米を作付けするようになったのです。
(b)良い意味でのお米のブレンド = 「こめ屋の合わせ技」
生産の現場では、「被害の分散」と「作業の分散」が出来るよう地域に適した 数種類の品種を選んでお米を作付します。そして、自然の恩恵と耕す人の力により 育み収穫されたお米を食べる消費者は、一年中いつでも同じ品質・同じ食味であることを望みます。
しかし、その年その年の天候はそれぞれ異なり、それに伴い生育状況も変わりますので、 同じ産地に同じ品種を作付しても収穫されるコメが前の年と比べ、同じ品質・同じ食味・ 同じ収量になることは先ず有り得ません。 また、同じ銘柄米100%のお米で”とりたての新米時期”と”一年近く経過した夏の時期”に 品質や食味を比較すると後者の方が双方とも低下するのはご存知の通りです。 そこで、こうした問題点を解消し、年間を通して食味の安定を図る方法として考え出されたのが 『お米のブレンド』です。
一般的にお米のブレンドと聞くと高品質のお米に安いお米を混ぜる、いわゆる格上げ混 米という悪いイメージを浮かべてしまいますが、数種類のコーヒーの豆を合わせ”コク と香りのある味に仕立てる”ように、お米においても数種類の品種を合わせ、その割合 を調整することによって銘柄米100%のお米よりも食味をアップさせたり、年間通して食 味を安定させたり、料理に合わせたりと『良い意味でのブレンド』を行なうことが出来ます。
もしここでお米を食べる人たちが
(1)ブレンドの良さを理解し、自然の恩恵と耕す人の力により 収穫されたその年その地域のお米を良い点も悪い点も全部ひっくるめて
(2)「地域を農家を丸ごと食べよう」と受け入れて下さるならば、
作る側は 地域に適したお米の作付け計画を偏ることなく、今までよりずっと 楽な気持ちで無理のない計画を立てる事が出来るのです。