“私達の住む地球”
その地球上の生態系において、そこに生息する全生物と環境の統合のなかで、 太陽のエネルギーに始まる食物連鎖を含めた物質の循環とエネルギーの流れとが 体系的に働いています。 それが地球上の自然(界)であり、生態系の一員である生物(人類)が食物連鎖の 中で他の生物(動植物・魚介類)を食べてエネルギーを補給していかなければ 生きていけない原点であり、その生態系の物質循環やエネルギーの流れによって 環境が保全されるゆえんでもあります。
そうした中で人類はその優れた知的能力により地球上の生物の頂点に立ち、 やがて「生存のためのエネルギー源である”食糧”ならびに”生活に必要な物質” を得るため」に農耕を生み出し、作物や畜産を作り出してきた歴史があります。 それは”生態系においての共生を前提とした有機的な繋がり”のなかで地域・ 文化・伝統等々を形成し、他の生物を減らすことなく人類を増やし繁栄させ、 食や環境を守り、自然の環境を大切にした一次産業(農林漁業)を築いてきました。 そこには、この世に生を授かる生物すべてが育ち生かされるという”いのちの サイクルの営み”が見えます。
そして今”我が国の食の営み”の現状は、『気候や自然の恩恵を受け育つ生産物に 手を添え汗している方々、つまり我が国土の持つ地的条件から生まれ全国各地に おいて多数を占める小農的な家族農業者』によって支えられております。 それは過去に生きたすべての人々の、現代に生きるすべての人々の、そして未来を 生きるであろうすべての人々の”いのち”を守ってくれる大切な人達です。 しかし一方、地球規模での人口増加や異常気象・環境破壊などにより世界的食糧 不足が予測されているにもかかわらず、また我が国には潜在的な生産能力がある にもかかわらず、政府はガットウルグアイラウンドに合意し、ミニマムアクセスや SBSにより主食の米まで輸入することを認め、さらにWTO(世界貿易機関)の 発足に伴なう農産物貿易の自由化などの道を世界に開放しました。 また、経済効率を優先する企業的な理論が先行する中で、外国からの輸入品が安い からと言って我が国の一次産業(農林漁業)を軽視してしまったのでは担い手の 高齢化・後継者不足・耕作放棄地や過疎地の拡大をさらに進展させ、世界でも最低 水準と著しく低下した食糧自給率がより一層低下して食の安定供給が脅かされます。 さらに、農産物の貿易拡大が進められれば市場支配的な企業による食糧の支配の 一層の強化を招くことになるでしょう。 これらのことは地域社会の崩壊をもたらし、地域文化を消滅させ、環境や国土保全 などの多面的な機能をも衰退させてしまいます。 それは私たち国民自身の問題でもあります。
こうしたことから現代そして未来において国民一般が望むことは、経済効率や利益 を優先する企業的・工業的な原則を適用する社会ではなく、いのちや暮らし・環境を 重視する自然的・人間的な考え方を基本とした社会、つまり『人と人、自然と人間とが 調和していける持続可能な社会(地球)』です。 今ここに人と人との関係を我が国の農と食に鑑みれば、生産者・消費者と言うと立場が 異なってみえるが、実は「お互いの”いのち”や”暮らし”を守り育て、共に生き生かされ ているという支え合う関係」にあります。
どちらが欠けてもいのちや暮らしが成り立たないのだからお互い助け合い、 いのちとこころが重ね合わさって共に生きるという姿が望ましく思います。 従って、今私たちに求められていることは生きるための共通の媒体食の世界に目を 向け「農・食・いのち」を一つに重ね合わせ、志を同じくする人々が同じ土俵の上に 集まり一つになり、いのちの源を見つめ、考え、意見を交わし、何らかの結論を導き 出し、そして地球の社会の良きパートナーとして歩んで行くことだと思います。
そうした想いから生まれたのが昴穂人倶楽部でした。