HOME  >  私の想い  >  3. 再生産可能へ向けて  >  (c)生産者との話し合い! お米の価格は?

3. 再生産可能へ向けて

(c)生産者との話し合い! お米の価格は?

 今まで全国各地の産地を訪ね生産者と話を交わしてきました。 さすがにコメづくりのプロですので自らの米づくりの会話には熱が入り、いつも延々と聞かされます。 けれど、ご自分で作ったお米の原価を尋ねると意外と知らない方が多いのに驚かされます。

けれど私たちが年間契約している『提携米 ⇒ 生産者の家族も食べているお米』は、 生産者がこれからも作り続けられる価格(再生産可能な価格)を話し合って決めるため、 生産者が自分のお米の生産原価を知らないと話が進みません。

そこで平成8年、用意した 「再生産可能な価格の試算表」 に"米生産の物財費"と"労働費" の計算書2点を添え提携生産者に郵送、記入後に返却して頂き、それを基に話し合うことにしました。 それは従来とは異なり、お米の価格の決め方を市場動向から切り離し、農業経営が成り立ち作り 続けることが出来る再生産可能な価格へ向けての一歩でした。
再生産可能な価格の試算表における算出項目の内訳は大きく分けると、

1. 生産コスト

2. 農業経営上の生活保障費

3. 国土環境保全費(環境コスト)

になります。 その一つ生産コストは郵送した米生産の物財費計算書から算出され、二つ目の農業経営上の生活保障費は 同じく郵送した労働費の計算書から算出されます。 そして環境コストとなる三つ目の国土環境保全費は今まで生産費のなかに隠されていた部分を表に出し その役割を認知させるという初めての試みです。

それは『国土・環境に負荷させない土づくり、安心して食べられる米づくり(農産物づくり)を行ない、 農業を持続することにより私たちの"いのち"(食糧自給の維持、水や緑の保守保全など)を守り 育む生産者への努力の報い』を認知計上する提案となりました。

しかしこの提案は、平成8年当時の提携生産者側と流通業者側の協議により、また消費者の意向・動向を 鑑みることにより、時期尚早との結論に達し、再生産可能な価格の試算表への正式な計上は見送られ、 現在は生産者の収益の項に加味し含むものとするということに留まっています。 提携の関係のなかで価格についての話し合いはお互いに辛い部分ではありますが、大切なことは、 物を手にした価格だけで判断せず、その裏側に秘めている生産者の思いを受け止め、それを自分たちの 生活に組み込み、農業に基盤をもった暮らしづくり、社会的に意味のある将来計画を生消がしっかりと持ち、 理解し合い・支え合っていく関係づくりではないかと思います。 それは、未来を担う子や孫たちに"いのち"を繋げることになるからです。

【追伸】
ここで述べた再生産可能な価格の取り組みについては、
  家串哲生著 「農業における環境会計の理論と実践」(農林統計協会)
に、数字をあげて詳しく紹介されていますので、興味ある方はお読み下さい。

前へ                          次へ


▲pagetop