そもそも有機の本来の目的って?

ここ何回かのコラムの中で有機JASマークについて触れてきました(※1※2
今回は、そもそもの有機の本来の目的ってなんだろう という事をまとめました。
少し難しい話になりますが、お付き合いください。

日本の有機規格ができた経緯

以前、日本では有機食品についての統一の基準が定められてなかったため、様々な方法で生産されたものが有機として流通していました。
そのため、消費者の方々は何を基準にして選択すれば良いのか困っていました。
そうした中、国内での基準・制定作りが始まり、日本の有機は下記A〜Cのように諸外国と相互承認される規格で定められました。
デパートや自然食品店などで外国から輸入された有機食品に有機JASマークが貼付されているのを見かけた事があると思いますが、それにはこうした同一の有機規格という理由があるからなのです。
A) 制度の創設
1999年(平成11) に JAS法 (農林物資の規格化 及び 品質表示の適正化に関する法律) が改正され、コーデックスガイドライン(※3)に準拠した 「有機食品の検査認証制度」が創設されました。
※3 FOA(国際食糧農業機関)と WHO(世界保健機関)が合同で運営している 「コーデックス委員会」(食品規格の国際的な政府機関) が定めた “ 国際食品規格 ” のこと

B) 有機JAS規格の制定
 上記制度の創設に伴い2000(平成12)年 1月、“日本農林規格 (農林水産物 及び その加工食品の品質を保証する規格)” に 「有機食品のJAS規格 (有機JAS)」 が制定され、この中で有機食品の生産の方法についての基準等が定められました。
これでやっと日本の有機も明確になったのです。

C) 有機認証制度の諸外国との相互承認
 コーデックスガイドラインに準拠した我が国の “有機JAS” は、“国際食品規格 と同一の有機規格” です。従って、同水準の有機認証について他国の制度を自国の制度と同等と認め、国家間で相互に取り扱うという取り決めがあります。
(現在の相互承認国は、アメリカ・アルゼンチン・オーストラリア・カナダ・スイス・ニュージーランド・EU)

有機の本来の意義について

有機規格の中で食品としての有機 (有機食品) を大別すると、
  ・有機農産物
  ・有機農産物加工食品
  ・有機畜産物
の3つが あります。 そして、それぞれに対し、
  ・有機農産物の日本農林規格
  ・有機農産物加工食品の日本農林規格
  ・有機畜産物の日本農林規格
という有機JASの規格があり、
そこには “生産の原則” (下記) や “生産の方法についての基準” などが
厳しく定められております。
この生産の原則の中に有機本来の意義が制定されているのです。
<有機農産物 の生産の原則>

農業の自然循環機能の増進を図るため、化学的に合成された肥料 及び 農薬の使用を避けることを基本とし、また遺伝子組み換え技術に頼らず、土や自然の力を活かして生産し、環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用した”ほ場”において生産すること。
難しく書かれていて分かりにくいですが、
 「環境負荷を少ない方法を率先して使う事で、次の世代に地球を残していこう」
というのが私なりの解釈です。
つまり、環境負荷の少ない栽培方法だからこそ体に良い訳であって、それは本来の目的ではないと思う訳です。(誤:有機農産物=体に良い 、 正:有機農産物=地球環境に良い)
また、生産の原則の中に出てくる「自然循環機能の増進」という言葉が分かりにくさの原因と思います。 こちらについては 1999年から有機農産物の認定を受けている大竹さんの話が分かりやすいと思いますので、興味のある方は こちら を参照にして見てください。
 
つらつらと書きましたが、本日は以上になります。
少しでもご参考になればと思います。